第八十章

和也はドアの前に立ち、警戒を怠らなかった。雨音が激しく、遠くに人がいるのかどうか聞き取るのは難しい。銃を握る手はずっと力が入ったままで、背中の電撃傷がまだ引きつるように痛む。

数分後、春の顔色が変わった。

「葵、この中身はただのベースじゃない。君の血液サンプルと同じ反応試薬が入ってる」

葵の目がスッと沈む。

「藤原眞義がすでに一度、適合テストを済ませているってことね」

悠からも新たな知らせが入った。

『裏切り者が判明した。藤原家医療チームの武市克好、術前の採血を担当した医師だ。別院を出た後、藤原家には戻っていない。最後の入退室記録は第三生物製薬工場になってる』

和也は目を閉じた...

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